
技術情報
設計の流れ
関西金網では、お客様のご使用条件にもとづいて、最適なデミスターを提案します。
設計フロー

使用条件 | デミスターを導入する、あるいはすでに使用されているプロセスでの使用条件を確認します。 |
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実績 | すでにデミスターを使用されている場合や、当社の実績に使用条件とマッチするものがあれば、それらを参考にします。 |
材質 | 温度や腐食環境を考慮して材質を選びます。 |
デミスタースタイル | 使用条件やデミスター装置(本体容器)の大きさに合うデミスタースタイルを選定します。デミスタースタイルの詳細は製品情報をご覧ください。 |
デミスター形状 | 使用条件やデミスター設置スペースから、デミスターの形状を検討します。 |
気流速度 |
流速比率を計算し、適切な速度で気体がデミスターを透過するようにします。 気流速度へ |
捕集効率 |
ミストの捕集効率を計算し、希望効率を満たしていることを確認します。 捕集効率へ |
初期圧力損失 |
初期圧力損失を計算し、許容圧力損失以内であることを確認します。 初期圧力損失へ |
仕様決定 | 上記設計を経て、お客様の要求を満たすデミスター仕様を決定します。 |
気流速度
デミスターを流れる気体の最大許容気流速度は、次式で与えられます。

- Umax:最大許容気流速度 [m/s]
- ρl:ミストの密度 [kg/m3]
- ρg:気体の密度 [kg/m3]
- k1:デミスタースタイルによる定数
デミスターを流れる気体の速度が高すぎると、捕集したミストが再飛散してしまう恐れがあります。
一方で、速度が低すぎると、ミストが流線に乗りやすく、デミスターのワイヤを避けてしまうことが考えられます。
そこで、当社では実際の気流速度と最大許容気流速度の比率を流速比率として、流速比率=70~80%となるように気流速度を設計します。
捕集効率

デミスターでは、ミスト(液滴)はワイヤーに接触することで捕集されます。
ミストがワイヤーに接触するのは、主に以下の作用によります。
- 慣性衝突
- さえぎり
- ブラウン運動による拡散
デミスターで十分に捕集できるミストの最小サイズは2μmくらいになります。
捕集効率は、1本のワイヤーに対するミストの衝突効率からデミスター1層分の捕集効率を求め、複数層積層させたデミスター全体の捕集効率を求めます。
1本のワイヤーに対するミストの衝突効率はストークス数(流体中を運動する粒子の流れに対する追従性を表す無次元数)の関数となります。
捕集効率の具体的な計算方法はカタログをご覧ください。
初期圧力損失
気体がデミスターを透過するとき、デミスターが抵抗となって圧力損失(圧損、差圧)が生じます。デミスターの圧力損失は以下の計算式で求められます。

- ΔP:圧力損失 [Pa]
- CD:抗力係数 [-]
- ρg:気体密度 [kg/m3]
- U:気流速度 [m/s]
- L:デミスター厚み [m]
- Df:線条径 [m]
- ε:空間率 [-]
- μg:気体粘度 [Pa・s]
使用上の注意
デミスターは、通常ニットメッシュを重ねてカットすることで所定の大きさになるように製作しているため、“C”状の切り屑が発生します。
製作時にできるだけ払い落としますが、切り屑を完全に取り除くことは困難です。
切り屑があまり発生しない製作方法として、ニットメッシュを巻いて成形するワウンドタイプがありますが、巻き始めと巻き終わりの部分にカットが入りますので、切り屑をゼロにすることはやはり困難です。