技術情報
設計の流れ
関西金網では、お客様のご使用条件にとって、最適なフィルターを提案します。
設計フロー
使用条件 | フィルターを導入する、あるいは使用されているプロセスでの粒子・流体条件や操作条件等を確認します。 |
---|---|
実績 | すでにフィルターを使用されている場合や、当社の実績に使用条件とマッチするものがあれば、それらを参考にします。 |
材質 | 温度や腐食環境、ろ材タイプを考慮して材質を選びます。 |
ろ材タイプ |
ろ過の目的や使用条件から、ろ材タイプを決めます。各ろ材タイプの詳細は製品情報をご覧ください。 ろ材特性の比較例へ |
ろ過精度 |
求められるろ過精度(分離したい粒子の大きさ)から、ろ材の目開き/細孔径を決定します。 目開き・開孔率計算へ |
初期圧力損失 |
使用条件でのろ材の初期圧力損失を計算し、許容圧力損失以内であることを確認します。 ※ろ材タイプ、フィルター形状によっては計算できない場合もあります。 初期圧力損失へ |
耐圧 |
フィルターの耐圧を計算し、フィルターが使用条件に耐えられることを確認します。 ※ろ材タイプ、フィルター形状によっては計算できない場合もあります。 |
フィルター形状 | ろ材を加工することで、様々な形状のフィルター(フィルターエレメント)を作ることができます。使用条件に適したフィルター形状・サイズを検討します。 |
仕様決定 | 上記設計を経て、お客様の要求を満たすフィルター仕様を決定します。 |
ろ材特性の比較例※1
目開き分布/ 細孔径分布 |
初期圧力損失 ※2 |
耐圧強度 | 開孔率/空間率 ※3 |
洗浄性 | |
---|---|---|---|---|---|
平織・綾織金網 | ◎ | ◎ | △ | ○ | ○ |
平畳織・綾畳織金網 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
焼結金網 | ○ | △ | ◎ | ○ | ◎ |
焼結金属繊維不織布(ベキポア) | △ | △ | ○ | ◎ | △ |
パンチング(打抜金網) | ◎ | ○ | ◎ | △ | ◎ |
SCP(スーパークリーンプレート) | ◎ | ○ | ○ | △ | ◎ |
ウェッジワイヤースクリーン | ◎ | ○ | ◎ | △ | ◎ |
※1 各ろ材タイプの仕様によっても評価は変わりますので、あくまで目安として参照ください。
※2 初期圧力損失が低い方が良い評価としています。
※3 開孔率/空間率が高い方が良い評価としています。
目開き・開孔率計算
ろ過精度は粒子特性やろ過条件によって変化するため、目開きと必ずしも一致しませんが、目開きは最も重要なファクターとなります。平織金網、綾織金網の目開きは、以下の式によって計算できます。
A:目開き [mm] M:メッシュ [-] d:線径 [mm]
メッシュとは1インチ(25.4mm)間にある線の数、あるいは網目の数を指します。
この式から、メッシュ、あるいは目開きだけでは平織・綾織金網を特定することはできず、線径、メッシュ、目開きのうち少なくとも2つの情報が必要であることがわかります。
開孔率(ろ材表面のうち網目開口部が占める面積割合)は次式で計算されます。
同じ目開きの場合、線径を小さくするほど開孔率は高くなり、処理能力は上がりますが、耐圧強度は下がります。反対に、同じ目開きで線径を大きくすると、開孔率は低くなり、処理能力は下がりますが、耐圧強度は上がります。
カタログには、平織、綾織金網の線径、目開き、開孔率の関係をまとめた仕様一覧もあります。
平畳織・綾畳織金網は立体的な網目構造を持つため、目開き計算式も複雑になります。目開き計算が必要な場合は、当社までお問い合わせください。
その他のろ材タイプのろ過精度や目開きについては、製品情報やカタログをご参照ください。
フィルターの目開きや初期圧力損失、
その他技術的なお困りごとがありましたら、
ご遠慮なくお問い合わせください。
初期圧力損失
流体がろ材を通過するとき、ろ材が抵抗となって圧力損失(圧損、差圧)が生じます。圧力損失はろ過に必要な圧力やろ過寿命に関わる重要なパラメータになります。目詰まりやケーク(ろ材上にできる粒子層)がない状態のろ材のみの圧力損失を初期圧力損失と言います。
多くのろ材の初期圧力損失は、以下の計算式で表されます。
- ΔP:圧力損失 [Pa]
- u:流速 [m/s](=流量[ℓ/min]÷ろ過面積[cm2]×1/6]
- α:粘性抵抗係数[m-1]
- β:慣性抵抗係数[-]
- μ:粘度[Pa・s]
- ρ:密度[kg/m3]
粘性抵抗係数α、慣性抵抗係数βはろ材固有の係数であり、計算や空気透過試験、流体解析により求めることができます。
主な平織・綾織・平畳・綾畳織金網の抵抗係数α、βは製品カタログに掲載されています。
ベキポアの抵抗係数αもカタログに記載されています(ベキポアは主として層流条件のろ過で使用されるため、慣性抵抗係数を考慮していません)。
フィルターの
評価試験
フィルターの設計・開発において、必要に応じてろ過精度や初期圧力損失、耐圧強度を評価します。そのため、当社では様々な試験設備を保有されています。流体解析により、ろ材の初期圧力損失やフィルター内の流れを評価することもあります。